人と社風

アナウンサーからIT企業の人事部長へ。「この人がいるなら安心」と思ってもらえる存在になりたい

金子 由香梨 

管理統括本部 人事部 部長

2022年 中途入社/人事

アナウンサーを目指したきっかけは、祖母の言葉

ソシアスに入る前は、アナウンサーとして働いていました。アナウンサーを目指したのは、祖母の影響が大きいです。耳が遠かった祖母が、私の声だけは聞こえると言ってくれて。「あなたの声はずっと聞いていたい」と小さい頃から褒めてくれたんです。それが嬉しくて、「じゃあテレビから声を届けられたら、もっと喜んでもらえるかも」という気持ちがどこかにありました。

アナウンサーを多く輩出している女子大への入学後、大学2年生からアナウンススクールに通い始めました。そこには、アナウンサーを目指す学生が多く集まっていて、外見的にも華やかな方が多かったです。

当時は、いわゆる「アイドルアナ」のような存在が注目されていた時代で、スクールでもそうした雰囲気や振る舞いが求められることもありました。私は、ニュースを読むことや言葉で伝えることに魅力を感じていたので、「少し方向性が違うのかもしれない」と戸惑いを感じることもありました。

「声」を認めてくれるスクールに出会い、沖縄のテレビ局に内定

そんなときに、友人にすすめられて別のアナウンススクールに入りました。そこで初めて、ビジュアルではなく「声」を褒めてもらえたんです。「あなたの声は安定感がある。アナウンサーに向いているから、諦めちゃダメ」と言ってもらえて、気持ちが持ち直したのを覚えています。

そのスクールでは、後にフリーアナウンサーに転身したタイミングで、スピーチトレーナーとして採用してもらい、話し方のレッスンやコンサルティングを担当するようになります。

就職活動時代は、「アナウンサーになれるなら全国どこでも行く」と思っていたので、北海道から沖縄まで、80社近く応募したと思います。ご縁があって沖縄のテレビ局から内定をもらい、沖縄へ移住することになりました。沖縄は修学旅行で行ったことがある程度でしたが、不安は全くありませんでした。

東日本大震災をきっかけに、神奈川に帰郷

沖縄のテレビ局を退社した後は、福岡のテレビ局で約4年間勤務しました。2011年に東日本大震災が発生した際、私は福岡にいたので揺れは感じなかったのですが、当時報道部に所属していたこともあり、毎日地震に関する情報に触れていました。

その中で、出身地の神奈川にいる家族や友人と一時的に連絡が取れなくなり、離れているからこその不安を感じたことをよく覚えています。「大切な家族のそばで暮らしたい」と強く思い、神奈川への帰郷を決意しました。

神奈川に戻ってからは、フリーアナウンサーとして式典やイベントの司会、ナレーション、テレビ番組のCM出演といった仕事に加え、学生時代に通っていたアナウンススクールで社会人向けの話し方レッスンのトレーナーとしての仕事もスタートしました。

話し方レッスンで、ソシアスの代表の出羽と出会う

ソシアスとの出会いは、スピーチトレーナーとしてレッスンを受け持っていたときのことでした。代表の出羽が、結婚式の主賓スピーチに備えてレッスンを受けに来ていたんです。

元々は別のトレーナーが担当していたのですが、数回目で偶然私が担当した際に「今回は緊張せずにレッスンが受けられた」と気に入ってくれて、その後は指名で継続的に通ってくれるようになりました。

そのうち、ソシアスの社員も何名かスクールに通ってくれるようになり、「もし社内に金子さんのような人がいたら、教育体制をより整えられるのでは」というお声がけもいただいていました。

希望の働き方を「うちでなら叶えられるよ」と言ってくれた

コロナ禍でスピーチトレーナーとしての仕事が減ってしまった頃から、フリーランスとしての不安定な働き方に漠然とした不安を感じ始め、将来を見据えて生活の安定を求める気持ちが強くなっていました。

そんな折、いつも気まぐれにふらっとレッスンに来ていた出羽がコロナのタイミングでも来てくれて、「うちで働いてみないか」と改めて声をかけてくれたんです。「完全にアナウンサーの仕事を辞めなくてもいい」と言ってくれたことが、ありがたかったです。

無理に勧誘するわけではなく、私がやりたいことや優先順位をしっかりと聞いてくれて、「うちだったら叶えられるよ」という言葉をもらいました。ソシアスで働くことを決めた理由として、私の希望の働き方に寄り添い、できるだけ尊重しようとしてくれた出羽の人柄に惹かれた部分は大きかったと思います。

最初は週に2日、主に研修のサポートや社員のフォロー、広報などの業務を中心に少しずつソシアスに関わり始めました。それから徐々に勤務日数を増やしていき、現在はフルコミットする形で働いています。

初めての「会社員らしい」働き方と採用業務

福岡のテレビ局時代に会社員としての勤務経験はありましたが、アナウンサーの仕事もスピーチトレーナーの仕事も勤務場所や時間帯が不規則だったので、「毎日決まった時間に出社する」「自分の席がある」といった、いわゆる「会社員らしい」生活は初めてで新鮮でした。

最初は研修のサポートからスタートし、徐々にビジネスマナーや話し方の研修を担当していくようになり、さらに採用にも関わるようになりました。入社前から「将来的には採用にも関わってほしい」とは聞いていたものの、当時の私はITに関するリテラシーが皆無の状態。

アナウンサー時代に、ニュース原稿をPCで作成したり、映像編集を行ったりしていたので、PCスキルは問題なかったものの、SESやエンジニアといった領域に関する知識はほとんどなく、求職者の方の質問にしっかりと答えられるか不安な部分もありました。

自分が受けた面接で実感した「一人ひとりに向き合う」大切さ

少しずつ経験を重ねる中で、「面接とはこうあるべき」が消えてゆき、少しずつ自分なりのやり方が確立されてきました。今大切にしているのは、形式にとらわれるのではなく、目の前の人ときちんと向き合う姿勢です。

この考え方の原点にあるのは、私が内定をいただいた沖縄のテレビ局での面接体験です。私の面接をしてくれたアナウンサーの方が、数多くいる就活生としてではなく、私という一人の人間に深く関心を持ち、向き合ってくれたように感じました。「神奈川から沖縄に来ることに不安はない?」「沖縄に友達はいるの?」などと質問をしてくれて、形式的なやりとりではない「寄り添ってくれている」と感じられる面接でした。

内定前には、報道局の役職者の方が私の両親に直接電話をかけてくれて、「お嬢さんを採用したいと考えていますが、沖縄での一人暮らしについてご両親は了承されていますか? 」と確認してくださいました。その姿勢に私は深く信頼を覚え、「この会社で働きたい」と思えたんです。

「この人がいる会社なら安心」そんな存在を目指して

その経験を通じて、求職者の人柄や価値観に目を向ける面接を心がけるようになりました。面接前には履歴書にくまなく目を通し、一人ひとりとしっかりと向き合うための準備をすることを大切にしています。 

ソシアスの採用サイトのコピーにもある「どこで働くかより、誰と働くか」という言葉には、私自身とても共感しています。採用担当者という、求職者の方がソシアスと接する最初の入り口として、「この人がいる会社なら安心できそう」と思ってもらえる存在でありたいと考えています。

面接の場では、しっかりと準備してきたことが伝わってくる方も多くいらっしゃいます。覚えてきたことを一生懸命話してくださる姿に誠実さは感じますが、面接で大事なのはその方の自然な言葉や本音を語ってもらうこと。

できるだけ肩の力を抜いてもらえるよう、「当社の志望動機をお聞かせください」といった形式的な質問ではなく、「どうしてうちに興味を持ってくれたんですか?」などのフランクな聞き方を心がけています。

心を開いてもらうために、まず自分をオープンに

面接や研修の場では、求職者や新入社員の方に対して、自分自身のことも積極的に伝えるようにしています。アナウンサー時代の経験やプライベートな話題についても、隠さず率直に話すようにしていて、「何か聞きたいことがあれば、何でも聞いてね」と伝えています。

こうした向き合い方の大切さに気づいたのは、アナウンサー時代のある取材での経験がきっかけでした。沖縄で車いすラグビーの取材をした際、当時の私はいきなりいろいろ質問をして、話を聞き出そうとしていました。すると選手から「車いすラグビーって、どんな競技か知ってる? 命懸けなんだよ」「何も知らない人に話したくない」と言われ、取材を断られてしまったんです。

それからは、土日の練習に足を運んだり、飲み会に何度も同席したりして、少しずつ関係を築いていきました。私自身のことも知ってもらいながら、時間をかけて信頼してもらえるようになった結果、ようやく取材を受けていただけるようになりました。

この経験を通じて、相手を知るために重要なのは、一方的に話を聞き出すことではなく、まず自分自身についてもきちんと知ってもらうことなのだと学びました。

人事に向いているのは「自分の評価を気にせず、人に尽くせる」人

人事の仕事は、表立って評価されにくいこともあります。誰かをフォローしても「それが当たり前」と思われてしまう場面は少なくありません。それでも、目の前の誰かのために動ける人、自分の評価よりも相手の成長や活躍を喜べる人が、採用や研修の担当者に向いていると感じます。

現在は採用や研修業務に加えて、人事評価の運用にも携わっています。評価に関わる中で強く思うのは「頑張っている人を、見落としたくない」ということです。

ソシアスのエンジニアは、お客様先に常駐する働き方が多いため、その努力がソシアスの上司からは見えづらいこともありますが、そこにきちんと光を当てる仕組みが必要だと考えています。

現状のソシアス人事部は、体制としてまだ完璧ではありません。「もっと一人ひとりに丁寧に向き合いたいのに、手が回りきらない」と感じる場面も多くあります。採用自体はもちろん大事ですが、入社してくれた方が安心して長く働けるよう、育成やサポートにもより力を入れていきたいです。それを実現するためにも、将来的には人事部の仲間をもっと増やしていきたいと思っています。

共に支え合い、成長していける仲間になりませんか?

充実した研修とサポート体制があり、未経験からでも安心して成長できます。
素直で誠実な人なら誰もが輝ける場所で、一緒に働きませんか?